研究グループ
神経
内分泌・代謝
臨床遺伝
未診断患者(小児)に対する網羅的遺伝子診断プロジェクト
いわゆる人体の設計図ともいわれるDNAの配列(遺伝子とも呼びます)を、最先端の分析機器を使って幅広く調べることで、従来の医学的検査で診断のついていない患者さんの診断の手がかりにが得られることがあります。
未診断疾患イニシアチブInitiative on Rare and Undiagnosed Diseases (IRUD:アイラッド) は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 (AMED) により主導されたプロジェクトです。日本全国の診断がつかずに悩んでいる患者さん(未診断疾患患者)に対して、遺伝子を幅広く調べ、その結果を症状と照らし合わせることで、患者さんの少ない難病を診断し、これまでに知られていない新しい疾患を発見しています。
精神保健
我が国では子ども(小児期・思春期)のやせが増加しているにも関わらず、専門的な治療を行える二次医療機関は限られています。
だからこそ、子どもと関わる頻度の多い学校保健関係者や一次医療機関の医療従事者が、子どものやせに関する知識を持ち、子どものやせを早期発見し、治療の必要性を判断できることが重要です。
しかしながら、これまで我が国において子どもに関わる学校保健関係者や一次医療機関の医療従事者の子どものやせに関する知識や経験の有無、積極性について評価を行ったことはありませんでした。
そこで、今回、本研究では
- 学校保健関係者や一次医療機関の医療従事者の子どものやせに関する知識や経験の有無、積極性について評価
- 学校保健関係者・医療従事者にEラーニングによる子どものやせに関する系統的な教育プログラムを提供し、その教育効果の評価
を行いました。
腎臓
新生児
心臓
先天性心疾患の手術適応を心エコーのZスコア値から非侵襲的に予測する研究
先天性心疾患の中でも代表的な疾患である心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症などの疾患は、従来は侵襲的な心臓カテーテル検査によって手術適応が評価されてきました。本研究では、非侵襲的検査である心エコー検査で得られるZスコア値(心臓の計測値の大きさを、子どもの体格で補正して表現したもの)を用いて、心臓カテーテル検査の代わりとなる評価を行い、手術適応を判断できるようにすることを目標としています。既にいくつかの研究結果を、英文論文として発表、国内学会で報告しています。
心電図と人工知能の融合による新たな小児心疾患診断ツールの開発
小児期に発症する心疾患には、新生児期や乳幼児期に発症するものから、学校心臓検診などでも気づかれず、後年になって発症するものまで様々なものがあります。本研究では、人工知能(AI)の技術を用いて、心電図画像から小児心疾患の補助診断を行うことができるようなAIモデルを開発し、発症前のお子さんの心疾患をより早期に診断し、適切な時期に治療を開始できるような新しい医療の形を目標としています。
コンピュータ血流シミュレーション解析を用いた複雑先天性心疾患の血行動態解明
複雑な先天性心疾患のお子さんは、生まれつきの心臓の形が複雑だったり、手術後の心臓・血管の形態が通常と異なっていることも珍しくありません。こういった心臓や血管の中を流れる血流は、健常児とは異なりさまざまな特性を有しており、心臓の機能にも大きな影響を与えていると考えられますが、いまだ十分な解明はされていません。本研究では、最新のコンピュータ血流シミュレーション解析技術を用いて、複雑な心形態のお子さんの血流動態を解析し、心機能に与える影響を検討します。本研究を通して、より心臓に負担の少ない治療法を解明することを目標としています。その一例として、1.5心室循環という特殊な手術法におけるシミュレーション解析の結果を、英文論文として報告しています。
血液・腫瘍
初発小児フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)に対するダサチニブ併用化学療法の第II相臨床試験 ALL-Ph18 (研究総括者:嶋田 博之)
Li-Fraumeni症候群に対するがんサーベイランスプログラムの実行可能性と新規バイオマーカーを探索する多施設共同前方視的臨床試験(研究事務局:山崎 文登)
呼吸器
感染症
肝移植後患者における生ワクチンの効果と安全性に関する研究
肝移植後には免疫抑制剤を長期的に使用するため、感染症に対して弱くなります。予防のためにはワクチンが重要ですが、生ワクチンはワクチン株による感染リスクがあるため、生ワクチンは原則として禁忌とされています。しかし、生ワクチンで予防可能なウイルスによる流行はみられ、移植後患者では重症化することが知られているため、当院では倫理委員会の承認のもと、安全に接種できる基準を設けて生ワクチンを接種しています。20年以上の接種経験から安全に接種できることを確認しておりますが、一部のワクチンでは効果が長続きしないこともわかってきました。生ワクチンを肝移植患者さんに、安全かつ効果的に接種できる条件を検討するため研究を行っています。
外来総合診療
コロナ禍のステイホーム期間に実現した、高い夜尿症治療成功率
夜尿症治療は早期夕食やアラーム療法などありますが、習い事があることや保護者帰宅後の夕食準備、日常の忙しさなどを考えると本人や保護者の協力が必要です。初期コロナ禍の厳格なステイホーム期は、夜尿症治療という意味では集中して取り組める環境であったご家族が多かったです。図はカプランマイヤー曲線といって、縦軸が治癒率、横軸が症例登録からの期間で、点線が厳格なステイホーム期、実線がコロナ禍以前(通常期)です。初期コロナ禍の厳格なステイホーム期は半年後夜尿治癒率73%と、コロナ禍以前(通常期)の27%に比べ明らかに高い治癒率を実現できていたことがわかりました。夜尿症の自然治癒率は1年後15%しかありませんので、本人や家族が治したいと考えている場合はぜひ治療の相談をご検討ください。
免疫・アレルギー
鶏卵に対するfood protein-induced enterocolitis syndrome(FPIES)の発症リスクに関する横断研究
食物蛋白誘発胃腸炎(Food protein-induced enterocolitis syndrome, 以下FPIES)は、一般的に知られているIgE抗体を介して皮膚症状、呼吸器症状を起こす食物アレルギーとは異なり、IgE抗体を介さずに嘔吐や下痢などの消化器症状を呈する疾患であり、治療は原因食材の除去のみとなっています。日本では近年、鶏卵によるFPIESが急増しています。
スポーツ医学総合センター
急性期集中治療
小児のカテーテル関連尿路感染症に対する画像検査の必要性の検討
これまで、小児において一般的な尿路感染症と尿路異常の関連は知られていましたが、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)と尿路異常の関連は知られていませんでした。そこで我々は、尿路の画像検査異常を認める小児患者の割合を、CAUTIを発症した患者群と発症しなかった患者群で比較することで、CAUTIと尿路異常の関連について調べました。結果として、CAUTIの発症は尿路の画像異常と有意な関連があり、小児におけるCAUTIの発症に先天的な尿路異常が関与する可能性が示唆されました。 この研究は感染班や腎臓班の協力のもとで実施されました。