ご挨拶

教授のご挨拶

ご挨拶

2023年4月1日に小児科学教授に着任しました、鳴海覚志です。慶應義塾大学医学部小児科学教室のホームページをご覧いただきありがとうございます。私たちの教室は医学部・病院の開設とともに産声をあげ、これまで100年を超える歴史があります。300名を超える教室構成員数が医育機関、病院、診療所、保健所、厚生労働省などで活躍しており、我が国の小児医療、小児医学研究、人材育成を支えています。

少子高齢社会が到来し、出生数減少など子どもをとりまく“量的変化”が注目を集めていますが、それと同時に平均出生体重の減少(過去40年で200グラム)、低出生体重児の増加(過去40年で倍増)、医療的ケア児の増加(過去10年で倍増)といった“質的変化”も進行しています。「次世代の社会の担い手をどのようにして健全に育むべきか?」は医療にとどまらず社会全体の課題です。このような多面的な課題を解決するため、多様な経験、多様な価値観を持ちつつ、共通のゴールに向かって努力を惜しまない人材を育ててゆきたいと考えています。

 

私たちの診療

小児科臨床の歴史を振り返ると、感染症の克服をメインテーマとする時代が長く続いてきました。1980年代に入ると先天性心疾患、小児がん、小児神経疾患、新生児医療など、小児医療分野の専門化が進み、多彩で個別化された小児医療を実現できるようになりました。私たちの教室も時代の変化にあわせて進化をとげ、現在では10を超える専門班が活動しています。様々な分野のスペシャリストがそれぞれのフィールドでスキルを発揮している他、複数の専門領域を組み合わせたチーム医療も得意です。また、子どもの病気の救命率が改善するとともに、病気を持ちながらも生活してゆく患者さん・ご家族のメンタルヘルスのあり方に注目が集まるようになりました。私たちの教室では患者さん・ご家族のこころのケアに20年以上取り組んでおり、患者さんを社会の中の一人の人間として捉える全人的医療を実践しています。

 

私たちの研究

慶應義塾大学医学部の創設者である北里柴三郎博士は生涯にわたり感染症学の発展に尽力しました。感染症学においては、疾患の原因となる起因病原体の同定が極めて重要な位置を占めます。なぜなら、病因(病気の根本原因)の解明をきっかけとして診断法、治療法、予防法が開発できるようになり、ひいてはその疾患の克服の可能性が開かれるからです。私たちの教室は小児疾患の病因解明に積極的に取り組んでおり、22q11.2欠失症候群の分子病態の解明 (Yamagishi H et al., Science 1999)、巨大血小板性血小板低下症、知的障害、特徴的顔貌などを示す武内小崎症候群の発見 (Takenouchi T, Kosaki K et al., Am J Med Genet 2015)、先天性副腎低形成症、造血異常、成長障害などを示すMIRAGE症候群の発見 (Narumi S, Hasegawa T et al., Nature Genetics 2016)などの代表的な実績は、国内外で高い評価を受けています。

 

私たちの教育

私たちは慶應義塾の特徴ともいえる「人間形成を目指した教育」に教室員一丸となって取り組んでおり、指導的立場の小児科医や小児医学研究者を多数輩出してきました。私たちの強みは、大学病院に加えて地域医療を担う拠点病院、小児医療に特化した小児医療センター(国立成育医療研究センター、東京都立小児総合医療センターなど)と機動的に連携することで、多様性に富んだ学習環境を提供可能な点にあります。理想とする医師像は教室員ひとりひとりで様々ですが、カスタマイズされたキャリアパスを歩む中で、自らの可能性を試し、夢に挑むチャンスを得ることが可能です。また「臨床と研究のバランス」「仕事と生活のバランス」といったバランス感覚にも十分に配慮し、個々の教室員が持てる力を最大限に発揮できるような環境と文化を育くんでいます。学習・実践サイクルを効率的に回転させ、技術面だけではなく人格面でも優れた小児科医を育成します。

 

おわりに

診療、研究、教育――ひとりひとりの教室員が自律的・持続的に成長することで、子どもをとりまく社会をよりよくするための大きな「うねり」を起こすことが私たちのミッションです。ここまでの文章を読んで関心を持った医学生や研修医の皆さま、ぜひ見学にいらして下さい。私たちが心地よい充実感の中、いい顔で働いている姿をお見せできると思います。

 

慶應義塾大学医学部小児科学教室 主任教授

鳴海 覚志

 

見学に行こうかなと思った方、住友直文(naosumi1983@keio.jp)までご連絡ください。